#3 対人援助の仕事と「クリエイティブ」

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夜、仕事をしようと机に向かう時、自分の中に締切や○○せねばならないという感覚があるのを感じ、寝間着の上に上着を着て散歩に出かけました。

気の向くまま近所の広い公園に向かいました。
夜の公園の木々は強い風に影を揺らし、少し恐ろしくもあり、昼間の姿よりも〝自然”なものに感じました。
そのあと一面草に覆われた公園の原っぱを歩きました。
草を踏む音、夜の景色、風の音、濃い緑の匂いに刺激され、子供の頃の記憶やイメージが頭に浮かんでは消えていきます。
草むらに寝転がると、欠けはじめた月が薄雲の奥にぼんやりと光っています。
なんだか愉快な気持ちが湧いてくるのと同時に、不思議と色々創造的なアイデアも浮かんできて、足早に家に帰りました。


COMHCaをはじめてから、「クリエイティブ」という言葉に関心が向かっている自分がいます。

クリエイティブというと、僕が以前イメージしたのは、デザインとかメディアとか華やかさとかかかっこよさとかそんなようなものでした(笑)
でも自分が今イメージしている「クリエイティブ」はそういうこととは少し違う気がしています。 
自分の身体感覚とか、感情やイメージとか、自然と湧きあがるものとか、それが生まれるためのプロセスやスペースとか、そういった事が重なります。

そして、対人支援の仕事とそうした意味での「クリエイティブ」はとても関連しているように思います。

対人支援の仕事の中では、特にそれが対話的・協働的であるとき、その間だれかの人生の物語に伴奏しているような、その人の人生のドラマを舞台袖の特等席で見させていただいているような、そんな感動を味わうことがしばしばあります。
目の前で人々がそれまで語ってこなかった、語る事ができなかった感情や思い、願いが言葉になる。そんな心揺さぶられる瞬間に立ちあうことができます。
そしてそれは人々の間にとてもパワフルでエモーショナルなエネルギーを生み出します。

もちろん、対人援助の仕事では、いわゆる”クリエイティブ”な仕事がもたらすようなインパクトや影響はみえないでしょう。
目の前の一人一人の人の変化は傍からみたらほんの小さな一歩かもしれないし、行きつ戻りつ時に立ち止まって見えるようなこともあります。
木々の成長のように、とても時間のかかるプロセスかもしれません。

けれど、対話や協働がもたらすこうした事柄は、とてもクリエイティブなものだと思っています。

そして、こうしたクリエイティブな仕事をする時、自分自身に何かが生まれるスペースを持つことがとても大切だなぁと、最近改めて意識しています。