【経験専門家ジャーナル2026年春号】 TEBET修了生同士の語り聴く場で学んだこと
本橋直人/もってぃ
経験専門家ジャーナル 2026年春号 TEBET修了生同士の語り聴く場で学んだこと
今回、TEBET修了生の間で『TEBETについて』をテーマに話をいたしました。
TEBETでは普通の会話ではなく語ることと聴くことを分けることから学び始めます。
それを、私達は語り聴く場と呼称しています。
現在、私達は5名のTEBET修了生同士で毎月1回、LINEトークにてグループトークを
行っています。修了生の私達は、LINEでも自然と語り聴く場を意識してコミュニケーションを取っています。
語り聴く場では度々、普段は気づかない自分自身の投影を感じ取れる瞬間があります。
TEBETでは思考を休める事と感覚を活かすことを示し、感じていることを大切にする生き方への変化を促していると私達は感じています。それにより改めて自分自身を知るきっかけを作っている場だと思います。例えばですが、修了生の方の変化について聞いてみると
「相手の言ってる事や、やっていることに対して、その方の思いや感じていることに興味を持つようになり、会話の中でそれに対して心を寄せる言葉をかけるようになった」という方がいます。その方はTEBET受講前は相手の話を聞く際に、会話の内容を自分の話しにすり替えて話をしていた部分が有ったと気づいたそうです。そのことを現在は自然と自覚できており、今は相手の感じていることや、話に沿った内容を意識していて、相手への思いに寄せた会話をするようになってきていると感じているそうです。そして、TEBET受講後は自身の経験専門家として学んだ事が普段の活動に活きていると話して下さいました。
「単純に、新たにTEBET修了生という繋がりとネットワークが築かれていっている」という声もありました。精神疾患の方たちの大きな悩みのひとつに、人や社会との繋がりが無くなってしまうということがあると思います。TEBET参加により、新しいつながりが持てることも大きなメリットです。
当事者が経験専門家という呼び方に変わることで、日常の意識が変わっていくように私は思います。むしろ、人というのは立場から成ってくる部分が大きいと今は感じています。リスペクトを含んだ経験専門家という呼名が経験専門家を生み出しているように私は感じています。経験専門家という呼名が、その人を経験専門家に徐々に変化させているように私は感じています。
また、こんな声も上がりました。「人の人生に介入すると、うつになるリスクが高まるかもしれない」という指摘でした。こういった指摘はうつを経験した人にしかできないコメントだと思います。また、「TEBETがあることで、アフターテベット(所沢市のTEBET修了生の集い)に繋がり、大変な状況の中を、経験専門家の自主的なピアサポートで救われた経験があった。それを踏まえて、TEBETの繋がりがピアサポートを新たな領域へと押し上げていっているように感じる」という、貴重な経験を話して下さった経験専門家の方もいます。続けて、「大変な状況の時に築いたコミュニティが現在も繋がっていて、今、ピアサポート活動に活きている」という話も聞けました。
最後に、私がE-TEBETの現場で印象的だったお話がありました。
「人の能力や学歴等は簡単に比べることができます。それが現実の社会構造を作り上げていると思います。しかしながら、他者の経験にしっかりと耳を傾けてみると、人の経験には甲乙や良し悪しを簡単に判断できないものだという事に気づきました」というお話でした。
そのお話を聞いて私が感じたのは、TEBET修了生、または、経験専門家という立場は、自分の経験を活かして誰かの役に立てれば、という善意の集合体であるのと同時に、他者の人生の経験には甲乙や高低がつけられないということを学んだ専門家であると感じ、気付かされました。現在、精神の病がまん延して、とてつもないスピードで増えていっています。この状況の中に経験専門家という人達が現れてきたのは、何か必然なことであるように私は感じます。
現在は、新たに「越境するTEBET」(E-TEBET)が始まっています。その講座は地域を越えて、そして講座を修了した経験専門家は各地域へと散らばり広がりをみせています。
最初はローカルな地域で始まったTEBETでしたが、今は越境して、大きな広がりを見せてきています。そして少しずつ芽が出てきているというのが今であると思います。
本橋直人/もってぃ
Naoto Motohashi
今回、御縁を頂き、経験専門家ジャーナルオンラインの編集委員に参加することになりました。『ところざわ経験専門家ジャーナル こころのかたりべ』の編集委員としては、創刊号から関わっていました。一身上の都合により、しばらくジャーナル編集委員から離れておりましたが、今回、オンライン化に伴い、再度、関わらせて頂けることになりました。微力ですが、今後、経験専門家ジャーナルオンラインの活動に関わりたいと思っております。私は経験専門家養成講座2期修了生です。あらためて、よろしくお願いいたします。

